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建物を建てる、土地を持っている。

この場合、ランニングコストとして必ずかかる税金が固定資産税です。

あくまで持っている(所有する)人に課されますから、

当然ですが、土地や建物を借りている人には固定資産税は課されません。

 

この税金は、有名ではありますが、

詳しく知っている人はなかなかいません。

賦課課税方式という方式もあり、

税理士でも分かっている人は少ないです。

 

雑学的な面も含め、ちょっと書いていきたいと思います。

 

 

誰が誰に対して何にいくら課すのか?

固定資産税の説明について、次の番号順で話をしていきます。

 

固定資産税は、

①市区町村が、

②毎年1月1日時点の土地、建物、償却資産(事業用の機械や備品など)の所有者に対し、

③土地、建物、償却資産の評価額(金額)を基礎として、

④課税標準額に1.4%を乗じて計算した金額

を課します。

(固定資産税に関する法律では、建物は「家屋」という表現になっていますが、ここでは統一して「建物」と表示します)

 

個別の説明の前に、税金の課税の方法について少し書きます。

「課す」とあるとおり、固定資産税は、市区町村が一方的に税金を計算し、税金を納めるように通知してきます。その通知に応じて期限までに一定の額の税金を支払います。

このような税金の徴収方式を「賦課課税方式」といいます。

法人税や所得税のような納税義務者から申告して納付する税金とは異なります。

その反対に、自らが計算し、納付する税額を「申告納税方式」といいます。

申告納税方式の場合、根拠となる法律には、「○○は、○○税を納める義務がある。」という書き方になります。

決して、「課す」という書き方にはなっていません。

 

また、固定資産を持っている人になぜ固定資産税という税金を課すのでしょうか?

税金のかけ方には、税の公平性について、「応益負担」と「応能負担」という考え方があります。

税金には、行政サービスに対する対価としての側面があります。

「応益負担」は、納税者が得る行政サービスに対して、受けた分だけ税金を払うことで、

公平性を図る考え方です。

「応能負担」は、支払うだけの能力がある人から多くとり、能力がない人からは少なく取るという考え方です。

固定資産税は、「応能課税」という考え方を取っており、土地や建物を所有できる能力がある人だから、多く税金を取れるということで、課されます。

はっきり言ってしまえば、所有している人=お金持ち、所有していない人=NOTお金持ちということです。

一概には言えないですが、課税する側としては、そうした判断のようです。

 

なお、固定資産税と一緒に、都市計画税という税金が課される場合もあります。

都市計画税は、市区町村の都市計画区域内に所在する土地、建物に対して課されます。

都市計画区域とは、簡単に言うと住宅街となっている場所です。

都市計画税が課されていない場所は、強いて言うなら田舎ということになります。

こちらは課税標準額に0.3%を乗じて計算した金額です。

都市計画税と固定資産税は課税標準額の算定が異なりますので、

固定資産税との違いは税率の差だけではありませんのでご注意下さい。

 

①市区町村が(課税団体)

課税団体とは、税金を課する権限を与えられた団体のことです。

固定資産税は、市区町村が税金を課します。

では、所有者が住んでいる市区町村と土地や建物がある市区町村が異なる場合はどちらの市区町村が課税団体となるのでしょうか?

この場合は、土地建物が所在する市区町村が税金を課します。

ですので、土地建物が所在する市町村から税金の通知(納税通知書)が毎年4月頃に届きます。

 

共有名義の不動産があるとします。

「夫婦で共有名義のマンションがある。」

「親子で共有名義の土地がある。」

こうした共有名義の場合、その共有者を一人の所有者として、所有者を判定します

ですので、ある人が単独名義で土地建物を所有している一方で、

他人と共有名義で土地建物を所有している場合、

それぞれを一人として固定資産税を課すので、通知は2通届きます。

この場合、共有名義の土地建物は、共有者全てに通知は発行されず、共有者のうち、誰か一人(「代表者」といわれます。)に通知が届くようになっています。

相続税を計算する際の財産の確認において、土地建物で共有名義のものがあり、

亡くなった方が共有名義の物件の代表者になっていないため、

亡くなった方には一切固定資産税の通知が届かない場合もあり、

財産の漏れに繋がることもありますので、ご注意下さい。

 

②毎年1月1日時点の土地、建物、償却資産(事業用の機械や備品など)の所有者に対し

土地建物の売買があった場合など、年の途中で所有者が異なることとなった場合でも、

固定資産税の納税義務者(税金を納付する義務がある人)は、あくまでその年の1月1日時点で所有している人です。

売買があった場合には、固定資産税精算金などで、売買日から年末までの期間で按分して買った人が負担する事がありますが、

あれは実質は固定資産税相当額を売買価格に付加しているだけなので、税金を負担していることにはなりません。

売る時に、固定資産税精算金は譲渡対価に含まれますので、その点ご注意下さい。

厳密に言えば、あれは税金ではありません。

また、相続があった場合において、遺産分割が行われず、1月1日をまたいでしまった場合は、

その相続人全員の共有名義の不動産という扱いになります。

 

③土地、建物、償却資産の評価額(金額)を基にして

固定資産税は、課税するモノを全て金額で表します。

価値のあるモノは高く、価値の無いものは安くなります。

土地、建物、償却資産で算定方法が異なりますが、簡単に言うと次のとおりです。

 

土地については、路線価という土地の接している道路の価格を基に計算します。

建物については、建築価格に経年劣化を考慮した価格を基に計算します。

償却資産については、取得価額と耐用年数を考慮した価格を基に計算します。

 

土地の評価について

まず、土地についてですが、路線価といわれる道路の価格を基準に㎡あたりの価格を算定し、それに土地の面積を乗じて土地の評価額としています。

大都市圏の道路は路線価が高く、田舎の道路は路線価が低いです。

また、1本の道路でも、場所ごとに異なる価格になります。

以前に「建物の価値は目減りする ~建物の価値は20年で0円?2割?~」でも書きましたが、土地の固定資産税評価額は、時価の70%程度となるように計算されています。

市区町村も、税金のためとはいえ、むやみに評価額を上げることはありません。

土地の固定資産税評価額が時価の70%ということですので、固定資産税評価額を70%で割り戻せば、土地の時価が分かるといことになります。

ただし、やはりあくまで目安でしかないので、必ず70%ということはありません。

場所によっては、路線価が時価を上回っているところもありますのでご注意下さい。

あと、税理士として相続税の評価額を簡便的に計算するときも、

この固定資産税評価額を使用します。

土地の相続税評価額は、時価の80%程度になります。

固定資産税評価額を70%で割り戻し、80%を掛ければ、

相続税評価額が算出できます。

ただ、面倒なので、固定資産税評価額に115%(≒80%/70%)を乗じて計算します。

 

中途半端ですが、以下、次号に続きます。