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前回からの続きです。

 

建物の評価について

 

建物については、建物を構成する材料や設備などを点数化し、

(再)建築価格を算定し、それに経過年数に応じて補正をし、評価額を求めます。

この計算では、何を材料として使っているか、何を設備として使っているかで点数が変わってきます。

例えば、外壁について。

塗り壁やサイディングなどは、標準としてそれ程点数は高くありませんが、これがタイル張りや漆喰真壁になると、点数が上がります。

一般的に高価な材料を使うと、必然的に点数も高くなるようになっています。

あとは、ビルトインガレージの駐車場について。

シャッターが付いていれば、それも勿論評価の対象となりますが、シャッターが付いていなくても3面しっかり壁があると、評価の対象となります。一方、壁でも通り抜けできるようになっていれば、ガレージとはならないようです。

エアコンについても、埋込み式のものは、設備として建物の評価に反映されますが、

設置型のものは、評価に反映されません。

細かいところでは、電気のスイッチ、コンセント配線の数なども項目に挙がります。

また、トイレについては、実は洋式より和式のほうが評点は高いです。

因みに、評価の構成要素としては、以下の11項目になっています。

屋根

基礎

外壁

柱・壁体

内壁

天井

建具

建築設備

仮設工事

その他工事

 

固定資産税を安くしようと思うと、この再建築価格で点数が低いものを使えば、点数が低くなります。

こだわりのない箇所は、思い切って点数の低いものを使うのと、固定資産税の節税にはなります。

 

ここで一点注意したい点があります。

建物の評価は、市区町村役場の担当職員が、新築後3ヶ月程度してから現地確認を行います。

その一度だけです。

たった一度の検査によるその評価額が基になって、ずっと固定資産税が課されます。

間違った評価が行われないか最初がとても肝心です。

担当職員もミスがないとも言えませんし、

全てを理解していることなんてことはありません。

固定資産税の過徴収がたびたび問題となりますが、

いつまで経ってもなかなかなくなりません。

素人では、見抜くことは困難です。

素人でなくても見つけるのは困難です。

現地確認の際、家族の中で一番家のことを理解している人が、

付きっきりでその調査に帯同し、その都度説明するようにした方が良いと思います。

誰も確かめようがない事柄ほど、ミスや不正が出やすいです。

 

その他、増改築などがあった場合はどうなるのか?

基本的に、周辺市町村ごとに毎年1回程度飛行機などから空撮を行います。

そこで従来にはない建物や形状が変更されている建物が発見されれば、

やはり担当職員から連絡が入り、立会調査にやって来ます。

 

評価替えについて

評価替えとは、一般に評価額の見直しを言います。

固定資産税の評価は、3年毎に行われます。

これは、建物の評価額について、

先の「再建築価額」の点数が3年に1度変更になることに因ります。

ただ、再建築価額は劇的に変更されることはありません。

近年だと、太陽光発電パネル一体型の屋根が追加された程度だと思います。

また、先の点数の他、建物の経年劣化も考慮されますが、

3年毎にしか経年劣化を考慮してくれません。

 

償却資産の評価額について

償却資産については、唯一何を持っているかを申告することになります。

いつ、いくらで買ったもの耐用年数何年のものを、所有しているかを申告します。

事業を営んでいる方、アパートなどを所有している方は、申告することとなっています。

一般の人には馴染みがないと思いますので、あまり膨らまさないようにします。

 

固定資産評価基準について

今まで見てきた土地、建物(家屋)、償却資産の評価に関する基準について、

総務省のホームページに「固定資産評価基準」として詳しく載っています。

家屋の評価については、要素となる材料や素材などが全て文字で書いてあるので、

なかなかイメージし辛いですが、事細かく書いてあります。

 

ふつう、土地や建物のことは国土交通省が管轄となるのが一般的ですが、

固定資産税は総務省が管轄となっています。

地方自治体のまとめ役が総務省ということなんでしょうね。

 

ちなみに、固定資産税の根拠となる法律について、

固定資産税法という法律はありません。

地方税法という法律の中の1項目という位置付けになっています。

 

免税点制度について

土地、建物、償却資産について、どんなものでも課税するのでしょうか?

さすがにどんなものでも課税するとしたら、逆に課税事務コストが増えてしまうので、

所有者毎に、この金額に満たないの人は固定資産税を課税しないという限度額がそれぞれ定められています。

これを固定資産税では「免税点」と呼びます。

 

土地…30万円

建物…20万円

償却資産…150万円

 

この免税点は、所有者毎に判定します。

先程、「共有名義の場合、その共有者を一人の所有者として、所有者を判定します

という説明をしました。

免税点についても、単独名義の免税点と共有名義の免税点は分けて判定します。

あまり現実的ではありませんが、

固定資産税対策として免税点付近の土地建物を敢えて共有名義にするということもなくはないかと思います。

ただ、手間がかかるのと、登記費用などのコストの方が大きいかと思います。

 

④課税標準額に1.4%を乗じて計算した金額

課税標準とは、税率を掛ける前の数字だと認識してもらえれば結構です。

評価額と課税標準の違いはというと、

評価額に課税上の手を加えたものが課税標準となります。

この課税上手を加える行為が、いわゆる特例になります。

以下で特例について説明します。

 

土地について

居宅(人が暮らすための建物)の敷地については、特例があります。

戸建住宅の場合 200㎡以下の面積 評価額✕1/6

200㎡超の面積  評価額✕1/3

ただし、家屋の床面積の10倍を限度とします。

これを住宅用地の特例といいます。

この特例は、建物が居宅に限られますので、戸建住宅かマンション、アパートなどだけが適用できます。

アパートやマンションの場合は、先の200㎡に戸数を乗じて計算することができます。

 

ですので、雑居ビルや倉庫などは対象外です。ご注意下さい。

なお、居住用と事業用との併用住宅の敷地の場合はどうなるのでしょうか?

この場合は、建物の種類に応じ、また居住部分の割合に応じた割合で面積を計算することとなります(居住用部分の割合が大きいほど面積も多くなります)。

 

また、被災住宅用地の特例という制度もあります。

住宅用地については、先の住宅用地の特例は、居宅が建っていることが前提でした。

この特例は、建っていた居宅が災害などで失くなってしまった場合でも、

被災年度の翌年度と翌々年度に限られますが、

居宅が建っていたものとして先の住宅用地の特例を受けることができるというものです。

 

少しだけ、住宅用地の特例について補足事項です。

 

今、日本では空き家の取扱いが社会問題となっています。

日本全体で、空き家が800万戸以上あると言われています。

空き家率も15%程度となっています。

空き家になった理由は色々あるでしょうが、

なぜ、取り壊さずに建物が残って居るのでしょうか?

取り壊しに費用がかかる(百万円単位で解体費用や産廃処理費用が必要)のは勿論ですが、

先に書いた住宅用地の特例が使えなくなることで、敷地の固定資産税が6倍に跳ね上がってしまうということも大きな理由となっています。

今までは、どんなにボロボロであろうが、建物が建っていれば、特例が受けられました。

そのため、修理もされず放置される家が増加しました。

 

このような状況に対応するため、通称「空き家対策特別措置法」が制定、公布されました。

空き家のうち、「特定空き家等」に該当するものについては、解体の通告や強制対処が可能となるというように、市区町村の権限が拡充されました。

こうして、特定空き家の所有者に対し、解体や修繕についての助言、指導を経て、更に効果が見られなければ、期限を設けて改善をするように勧告します。

この勧告があった時点で、先の住宅用地の特例が適用されなくなります

 

建物について

建物については、厳密にいうと課税標準の特例はありません。

税金が減る特例はありますが、正確にいうと税額軽減です。

税額軽減は、算出された税金を減らすということです。

今回、税額が減るという最終的な効果は同じということで載せさせて頂きます。

 

新築住宅の特例は、戸建住宅の床面積が50㎡以上280㎡以下の場合、

120㎡部分まで固定資産税が1/2に減額となります。

土地とは異なり、減額される期間があり一般的な住宅は3年間、

3階建て以上の耐火建築物又は準耐火建築物は5年間適用されます。

この特例を受けるためには、「新築住宅に対する固定資産税の減額申告書」を市町村役場へ提出する必要があります。

マイホームの場合、3階建ての鉄筋コンクリート造の建物については、

耐火建築物等に該当するものとして適用ができそうですが、

躯体以外にも要件はありますので、詳しい規定は市役所か建築士、建築会社に確認した方が賢明です。

 

その他、マイホームにおいて適用が可能なものとしては、以下のものが挙げられます。

なお、新築ではなくリフォームの際のものも含まれていますので、ご注意下さい。

  • 耐震改修に伴う固定資産税の減額措置
  • バリアフリー改修工事に伴う固定資産税の減額措置
  • 熱損失防止改修工事(断熱工事)に伴う固定資産税の減額措置
  • 認定長期優良住宅に対する固定資産税の減額措置

認定長期優良住宅については、「メリットの多い認定○○住宅って? ~認定長期優良住宅、認定低炭素住宅、ZEHについての損得~その2」をご参照下さい。

 

償却資産の特例

こちらも課税標準の特例とは言えませんが、

注意事項があります。

償却資産のうち、法人税法や所得税法において、

パソコンや備品などで取得価額が10万円以上20万円未満のモノは、

一括償却資産の特例又は中小企業者等の少額減価償却資産の特例のいずれかが選択適用できます。

一括償却資産については3年間で、

中小企業者等の少額減価償却資産の特例については支出時にまとめて経費にできます

固定資産税における償却資産の範囲には、

上記のうち、一括償却資産の適用を受けたモノについては、含まれないことになっています。

法人税や所得税だけを見て判断すると、

支出時にまとめて(早めに)経費にできる中小企業者等の少額減価償却資産の特例が有利ですが、

償却資産の免税点の150万円付近に償却資産の評価額合計がある場合、

どちらが全体として得になるか注意してみると必要があります。

 

まとめ

固定資産税は、身近な税金でありながら、

その正体が実に不明な税金と言えます。

賦課課税方式ということもあり、市役所内で完結してるため、

その計算が合っていると安心しきっているところがあります。

 

ちょっと辛辣ですが、市役所レベルの税務課の職員の方で、

窓口対応などにおける知識の面で正直「ちょっとどうかな」と思う方もいらっしゃいます。

もちろん全員がとは言いません。

おかしいなと思ったら、直接市役所の窓口に行って聞いてみるのも必要かと思います。

おかしいなと思うための手段として、固定資産の評価については、

固定資産の「縦覧制度」という制度があります。

縦覧制度は、毎年4月ごろ1ヶ月程度ですが、同一市町村内の土地や建物の評価額を見ることができる制度です。

自分の土地建物の評価額と周りの土地建物の評価額を比べ、

同時期に建てた家で同じような家なのに、

評価額に違いがある場合などは気をつけた方が良いかもしれません。